超・完全オリジナル漫才「転売ヤー」
「あ~ありがとうございます~ね。いま『ヤフオクの割引券』を頂きましたけれどもね。こんなんなんぼあってもいいですからね。」
「いきなりですけどね、ウチのオカンがね、やってみたい副業があるらしいねんけど、名前を忘れたらしくてね。」
「副業の名前忘れてもうて。どうなってんねん。でもオカンがやりたい副業なんて、スーパーのレジ打ちか生け花教室ぐらいやろ。」
「それがちゃうらしいねんな。」
「ちゃうの?えぇ??」
「色々聞くんやけど、わからへんねんな。」
「ほんなら俺が一緒にオカンがやりたい副業考えてあげるから、どんな特徴言うてたか教えてよ。」
「一旦物を買って、メルカリで売る仕事らしいねんな。」
「『転売ヤー』やないかい。その特徴は完全に転売ヤーやないかい。すぐわかったやないかい。」
「ちょっとわからへんねんな。」
「何がわからへんねん。」
「俺も『転売ヤー』やと思ったんやけど」
「そうやろ?」
「オカンが言うには、その職業は結構税金がかかるらしいねんなぁ。」
「ほぉ~。ほな転売ヤーと違うかぁ。転売ヤーが税金を納めてる訳ないもんね。転売ヤーは悪いことでお金儲けしているくせに、税務調査が来ない限りビタ1文も税金払わへんのやから。転売ヤーってそういうモンやから。ほなもうちょっと詳しく教えてくれる?」
「なんでみんなやらへんねんって思うらしいねん」
「転売ヤーやないかい。なんでみんなやらへんねんと言い出すのは、転売ヤーかインスタグラマーぐらいやねん。みんな将来性が無い事に気付いているからやらへんだけやのに、アホヅラこいてマウントとりたがんねん。ほんでホンマに皆がやりだすと、一番困るのは本人やねんから。転売ヤーに決まりや。」
「でもみんなから好かれてるらしいねん。」
「ほな転売ヤーちゃうやないかい。転売ヤーが好かれてる訳ないもんね。転売ヤーに生きてる価値なんて無いのよ。ほな転売ヤーとちゃうやないかい。もうちょっと何か言うてなかった?」
「基本人のせいにするらしいねん。」
「転売ヤーやないかい。「俺には家族がおんねん」的な事を言って同情を誘うけど、誰の心にも響かへんねやから。そもそも、どんな職業にも失業のリスクが伴う時点で、ただの負け犬の遠吠えなんやから。転売ヤーに決まりや。」
「でも親戚に自慢できるらしいねん。」
「ほな転売ヤーちゃうやないかい。転売ヤーという職業は、ほぼ新興宗教と一緒やねん。周りに言ったら終わりやからね。だって、転売ヤーを自慢してきたら、ホンマにやばいヤツなんやと言われて、即縁を切られるもんね。もうちょっと何か言うてなかった?」
「別名せどりって言うらしいねん。」
「転売ヤーやないかい!やわらかく表現したつもりでも、両方やってることは法律ギリギリアウトやねんから。オカンがやりたい副業は転売ヤーで決まりや!」
「でもオカンいわく、転売ヤーではないらしいねん」
「ほな転売ヤーちゃうやないかい。先言えよ。俺が転売ヤーに対してボロカスに言うてた時どう思ってた?」
「申し訳ないなぁー とは思わんかった。」
「思わんかったんかい!まあそうやな。転売ヤーはボロカスに言われても仕方のない仕事やからな。」
「オトンが言うには」
「オトン?」
「『スナックのママ』ちゃうかって」
「絶対ちゃうわ。もうええわ。」