短編小説「優等生」
僕のクラスには一人、優等生がいる。成績優秀でスポーツも万能。
彼女の家は渋谷のど真ん中にあるといった、所謂「お嬢さま」だ。
東京のマイナーな出身の僕なんかと比べ物にならない。それぐらい彼女はトップを走っている。
そんな彼女に、ある噂が流れた。
正直、信じがたい。優等生である彼女がそんなことをする筈が無い。そう思わずにはいられなかった。
しかし、僕は見てしまったんだ。
夕暮れ空が暗くなる頃、ヤンキーがカツアゲをしていた。
真相を確かめたかった僕は怖いもの見たさで、そのヤンキーの後をつけていった。
ヤンキーは渋谷の路地裏にある人気のない建物に入った。
よく見ると、何人もの人だかりが見え、みんなが一人の前にひざまづいている。
噂は本当だった。
「姉御、キッチリ25320円かっぱらって来ました!」
「御苦労様。お前たち、この調子で全国民から巻き上げるんだぞ」
あぁ・・・なんでそんな事をするんだ・・・NHKちゃん・・・
君を視聴した時には優しく笑ってくれたけど、もう君のことは恐怖でしかない。
正直、もう関わりたくないんだ。
でも、MXの僕はどうする事も出来なかった。